「神の恵みによって働いたパウロ」5/8隅野徹牧師

  月8日 復活節第4主日礼拝
「神の恵みによって働いたパウロ」隅野徹牧師
聖書:コリントの信徒への手紙 Ⅰ 15:6~11

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 今日は先週の礼拝に続いて、コリントの信徒への手紙Ⅰの15章前半が聖書箇所として与えられていますが、ここはとても大切な教えが詰まっている箇所ですが、とくにこの後行われる役員任職式に当たって「ふさわしい聖書箇所を神が与えて下さったな…」という印象です。役員の方だけでなく、後ろで支えて下さる皆様全員に語られた御言葉として受け取っていただけると幸いです。

 先週のおさらいを少しだけさせてください。先週は主に1節から3節の一つ目の文までを掘り下げました。

ここで教えられているのは「私たちが、福音というものをどう受け止めるべきか」ということについてでした。

 1つ目は、福音こそが、目に見える教会の基となっているものであること。建物や組織ではなく、土台はあくまで「イエス・キリストが私たち人間を救うために、人間としてこの世で生きて下さった後、十字架にかかり、その後復活して、天への道を開いてくださった、その良き知らせ」なのだということです。

 2つ目は、「福音は理解できる分かりやすい言葉であるということでした。

その言葉をしっかり覚え、告白し続けることは、救いにつながるのだ」ということでした。今日もメッセージの後に唱える「使徒信条」を心を込めて告白いたしましょう。

 3つ目は、福音は「受けるだけでなく、伝えていくべきものだ」ということでした。そのためには自分の中で福音とは何かを、しっかりと咀嚼し持っておく必要がある」ということでした。

このようにコリントの信徒への手紙の著者である「使徒パウロ」は「キリストの十字架・復活による救いの業」が「こころから嬉しい知らせである」ことを理解していたからこそ、1節から3節で「福音が教会の拠り所だ」とか「この福音の言葉にしっかりと立っていれば必ず救われる!」と確信をもって語っているのです。

パウロが福音を心から「喜ばしき知らせだ」と思えるようになったのはなぜか…それが今日の箇所の8節以下でうかがい知ることができます。それをじっくりと味わうことを願うのですが、まずパウロが「福音」に触れるまでどんな生き方をしていたのか、それを共に見たいと願います。

もともとパウロにとっての「良い知らせ」だと思っていたのは全く別のことだったのです。そのことが、自分の言葉として記されている聖書箇所を見ます。①新約聖書のP364をお開きください。フィリピの信徒への手紙3章5節以下です。まず5節と6節を読んでみます。

昔のパウロにとっての「良い知らせ」とは、まず「自分はよい家柄で良い教育を受けたエリートだった」ということでした。そして「律法」つまり「旧約聖書」の知識や、それを守っていることに対して、人から良い評価されること、それが「自分にとっての良い知らせ」だったのです。 

しかしそれは本当の意味の「良い知らせ」ではありませんでした。「良い知らせだ」と自分でおもいこんでいただけで、「自己満足」の中で生きていたのです。

しかし、キリストと出会い「本当の良き知らせである、福音」に出会ったことで全く別の生き方をするようになったのです。7節と8節の途中までを読みます。

 お分かりいただいたでしょうか?これまで自分にとって「よい知らせだ」と思っていたことを、「塵あくた」と見るようになったというのです。その辺に落ちている「ゴミ」と同じぐらいにしか思えなくなった…というのです。

それまでの自分が「本当に、これこそがよい知らせだ」と思っていたものを「ゴミ同然」に感じるようになったのはなぜか?…それは8節にある通り。「キリストを知った」からに他なりません。ここには「キリストを知ることの」の次に、わざわざ「あまりのすばらしさに!!」と言っています。 パウロにとって、人間の目からは立派な人に見えるような生き方をしていた自分が、本当は神の目から見て罪深い生き方をしていた。しかしそんな自分がキリストによって特別に罪から救われる!という「知らせ」を受け取ったことが、本当に!どれだけ「喜ばしいことだったのか」フィリピ3章から見て取れます。

 このことを心に留めた上で、今朝の聖書箇所を見てまいりましょう。再び新P320をお開きください。 

 3節の頭に、パウロ自身の言葉で「最も大切なこととして、私が受けたもの」という表現が出ます。3節の二つ目の文から8節までの部分で、その「喜ばしき知らせ」の内容が登場します。 その部分を読んでみますので、みなさんも目で追ってみてください。

 「喜ばしき知らせ」とは「救い主キリストについて」のことだと力強く語られます。             

そのキリストが「私たち人間の罪のために死なれたこと」、「墓に葬られたこと」、そして「復活されたこと」が記されています。   

全く罪のない「全知全能の神の子」が、人となって私たちと同じフィールドに降りてきてくださり、十字架にかかってくださった!私たちの罪の身代わりとなってくださったのです。

さらに、イエスが「死んで葬られた」ことも「私たちにとっての良い知らせ」なのです。それは、イエスが死んでくださったことによって、私たちの負っていただいている「罪や、古い自分自身」といったものも「死んだ」ものになるからです。

生まれ変わって新たな命をいただいて生きていける!」そんな私たちにとっての「喜ばしき知らせ」も、イエス・キリストが「死んで葬られた」ことがあればこそなのです。キリストを救い主と信じる者は、「イエス・キリストの十字架の死」に共に与ることができて、古い自分に死ぬことができるのです。

  もちろんイエス・キリストが「復活された」ことも、私たちにとってのよき知らせです。復活がなければ、私たちの罪は赦されてそれで終わりですが、そうではない希望が与えられるのです!

キリストが復活してくださり「死の力に打ち勝ってくださった」…だからキリストを救い主だと信じる者は「キリストの復活の命に共に「与ることができる」のです。死んでそれで終わりではない「天国への道」が私たちに開かれたのです。

さらに、この復活は作り話ではない!「歴史的な事実である」ということもはっきり語られます。5節をごらんください。ケファ、つまりペテロと他の弟子たちに復活した姿を見せられたとあります。さらに6節。5百人以上の「信徒たち」のもとへ同時に現れられたのです。

「復活の目撃者」となった人は、コリントの信徒への手紙が書かれたとき、かなりの数いたことも示されています。「証拠写真」を残すことが出来ないこの時代でしたが、パウロははっきりと「復活は確かな事実なんだ」と強く語っているのです。

しかし、復活が事実であるということは、「証人が何人いるとか」それも生き証人が何人いるとか、そういうことを「大きく超えて」確かだとパウロは言っているのです。つまり「罪を知らなかった自分が、本当の自分の姿を知り、古い自分に死に、キリストとともに復活のあたらしい命をいただいて」全く違う人生を歩めるようになった」ということが何よりの証拠だといっているのです。

9節10節の一つ目の文をご覧ください。

パウロは、もともと「良い教育を受けたエリートだ」と自負し、自分が学んだ「律法・旧約聖書」の理解が絶対だと思っていました。その結果、イエス・キリストを「神の子救い主」だと認めなかったばかりか、そう信じている人たちや教会を徹底的に迫害したのです。

そんなパウロに神は「ただ恵みによって現れてくださり」、彼が何者であるのか、本当はどんなに罪人であるのかを示して下さったのです。

この「罪・過ち」を示して下さった上で、イエス・キリストの十字架のゆえに罪を赦し、復活の命の恵みを与えて下さったのです。

復活の恵みが確かにあるからこそ、パウロはただ「罪が赦されて安堵する」ところに留まらず、「全く新しい命を生きた」のです。

新しく生きたパウロは10節の二つ目の文にあるように「神からいただいた恵みに応答して」働いたのです。

他のすべての使徒より多く働いたとは…「仕事量を自負している」のではありません。そうではなくて、「だれよりも多く罪を犯したのだから、だれよりも多く赦されたのだ。だから、だれよりも多く恵みに応答して、神のために働くのだ」との思いが表れているのです。

この後、役員と監事の任職式を行います。とくに役員は「名誉職」のようなイメージを持たれやすいです。一方で「教会の中で、だれよりも多く働かなければいけない人だ」というイメージも持たれやすいです。

しかし私は今日皆さんにお伝えしたいです!それは「役員は、量的に時間的に多く働ける人が召される」のではなく、「自分の弱さ、罪深さ」を神から示されたとき、パウロのように「それを謙虚に認め、そして赦し、救われたことに対して感謝をもって応答できる人」が召されるのだということを!

こんなに罪深い私が!イエス・キリストの恵みによって特別に赦される…これがパウロの表す「本当の喜ばしき知らせ」なのですが、教会もこの「イエス・キリストの福音による、本当の喜ばしき知らせ」を世の人々に証しすることが求められています。

そのために、役員会のお一人ひとりが「自分の罪が救われた恵みをいつも喜んで、ご用に当たれるように」皆様お祈りいただければと願います。(祈り・沈黙)

 

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