4月9日説教

「敵を愛することの意味」
<聖書>ルカによる福音書6:27~36
武田真治牧師(日本基督教団 広島教会)

イエス様が教えられた「敵を愛せ」や「頬を打たれたら、もう一方の頬も出せ」との言葉は、当時の法律であった「目には目を、歯には歯を」という同等の仕返しや復讐を許す考え方に対抗して、相手に復讐するのではなく、むしろその敵を愛するというあり方(=信仰の論理)で返せと言われている言葉です。復讐することが当然とされているこの世の論理や考え方に対して、信仰の論理や考え方があるのだということを示しなさいという意味です。それは<信仰の戦い>でもあります。決して私たちの優しさや憐れみや余裕から出来ることではないのです。
例えば「あなたの頬を打つ者は、も一方の頬をも向けなさい」という教えも、自分の頬をなぐった相手の行為を赦して、なかったことにする、忘れたというのなら、もう一回同じ頬を出すべきでしょう。しかし、イエス様は殴られた方の頬ではなく「もう一方の頬」を向けなさいと言われています。それは、自分が殴られたことを覚えながら、しかし、復讐をしないで、もう一方の頬も殴ればよいと信仰の論理を示すということです。言い換えるならば、自分は暴力に屈しない、信仰の覚悟を持ってここで生きていることを示すということなのです。そして、以上のことが出来るようになるためには、この世が与える報酬ではなく、天が与える報酬を望んで生きることが必要であると言われているのです!